【アドゥヤマンとマラティヤ観光】神神が眠る世界遺産ネムルト山の朝日

東のテラスと王墓と石像群

トルコ東部の高原にそびえるネムルト山(Nemrut Dağı).標高2,000メートルを超える山の頂にある石塚を取り囲む,胴体から離された神神の首の像をご存じの方も多いと思います.

その独特な景観と卓越した普遍価値とから,ネムルト山は1987年にユネスコの世界遺産に登録されています.

本記事では,ネムルト山の歴史や見どころ,周辺のホテルなどを紹介いたします.

ネムルト山(ネムルト・ダー)の概要

奥の円錐形の王墓は小石が積み上げられたものです.

ネムルト山(標高約2,150メートル)は,トルコ東部アドゥヤマンとマラティヤ近郊に位置し,紀元前1世紀にコンマゲネ王国のアンティオコス1世の王墓が築かれた場所です.その卓越した普遍価値とヘレニズム期の独特な芸術的成果などから,1987年にネムルト・ダーとしてユネスコの世界遺産に登録されています.

コンマゲネ王国は,紀元前162年にセレウコス朝から分離独立した小王国で,ローマ帝国とパルティア帝国との緩衝地帯にありました.コンマゲネはギリシャ語で「遺伝子の共同体」を意味し,その地理的条件から,ギリシャとペルシア文明の信仰,文化,伝統などが混合されていたことが,ネムルト・ダーの遺跡をユニークなものにしている大きな要因となっています.

父からはペルシアの血筋を,母からはギリシャの血筋を受け継いだアンティオコス1世(在位:紀元前69年頃から紀元前34年頃)は,自らの記念碑として石塚と神殿,石像群を造らせました.

直径145メートル,高さ50メートルの石塚は,王の墓とされていますが,発掘調査は困難で,王の遺骨は発見されていないようです.石塚は,東西北の三方をテラスに囲まれています.東西のテラスには,高さ約9メートルの5体の座像(アポロ・ミトラ,テュケー(コンマゲネの豊穣の女神),ゼウス・オロマスデス,アンティオコス自身,そしてヘラクレス・アルタネス・アレス)があり,その両脇にはライオンと鷲の守護獣像があります.どちらのテラスの座像の頭部も地面に落とされています.

参考

ネムルト・ダーの見どころ

ネムルト・ダーは,遺跡とともに日の出と日の入りとを鑑賞することができる場所としても知られています.今回は,実際に訪れた日の出の時間帯の写真とともに見どころを紹介します.

東のテラスと日の出鑑賞

左から鷲,アポロ・ミトラ,テュケー(コンマゲネの豊穣の女神),ゼウス・オロマスデス
左からアンティオコス自身,ヘラクレス・アルタネス・アレス,鷲とライオン
東のテラスの東側にある正方形の祭壇台座とライオン像,日の出を背に

ネムルト・ダーと聞いて真っ先に思い浮かばれるのは,東のテラスです.

日の出を望む方向を向いて石像群が並んでおり,朝日の当たるころに見る東のテラスの美しいこと.

この時間帯に合わせて,ネムルト・ダーを訪れる観光客は少なくありません.

東のテラスのさらに東側には正方形の祭壇台座があり,ここに座って持参した温かいチャイを手に日の出を眺めるという,貴重な時間を過ごすことができます.

西のテラスと夕焼け

石塚をぐるっと周って,東のテラスから西のテラスへと進みます.
写真は南側ですが,北側も通ることができます.
朝の西のテラス

西のテラスは,夕日鑑賞の名所として知られています.

日の沈む方を向いて東のテラスと同じ石像群が並んでいますが,東のテラスのように整然とはしていません.

次回は,夕日の時間に合わせて訪れたいものです.

ネムルト・ダーへのアクセス方法と周辺のホテル

ネムルト・ダーへは東のマラティヤから向かう道が一般的のようです.東と西のテラスとは,石塚を囲んだ道で行き来することができます.

東側のネムルト・ダーに最も近いホテルは,「Güneş Hotel(ギュネシ・ホテル)」です.

ネムルト・ダーで日の出を見る場合,このホテルに前泊してから翌朝日の出に合わせて出発します.ホテルから山頂へは,自動車でも徒歩でも向かうことができますが,徒歩で30分程度の上り坂です.自動車で向かう場合,舗装がされていないため,4WDが望ましいです.私たちは前輪駆動の自動車で向かいましたが,深い轍を抜け出すことができず,結局車を置いて徒歩で上ったため,日の出を山腹で迎えることとなりました.

山腹から望む日の出

Güneş Hotel(ギュネシ・ホテル)

私が訪れた2025年9月時点では,電波は入りませんでした.

タオル,石鹸はあります.
朝食は,このプレートにエキメッキ(トルコのパン)とチャイ(紅茶)とが付きます.

注意事項

  • 標高が高いため,朝晩は夏でも薄手の防寒着が必要です.
  • 強風対策として,ウィンドブレーカーがあると安心です.
  • 靴は歩きやすい靴を着用ください.登山用だとなお安心です.
  • 山頂付近は電波が入りません.
  • ネムルト・ダーの鑑賞には,入場料が必要です.私はその場でミュージアムカード(500TL ※1 トルコリラ は3.57 円 2025年9月6日現在)を購入しました.
  • ネムルト・ダーにはカフェなどはありません.飲み物は予め準備しておくか,入場ゲート前のチケット売り場で購入します.

まとめ

トルコ東部の高原にそびえるネムルト山(Nemrut Dağı)は,日の出と日の入りとを望むように石像が配置されており,その時間帯に訪れると,荘厳な雰囲気に息をのみます.

石塚と石像とは,想像していたよりも小さく感じましたが,今から2,000年以上も昔に,標高2,000メートルを超える頂きに,このような建造物が作られたことに畏敬の念を覚えます.

この石塚は,その困難さから未だ発掘調査がなされていないことにも,想像力を掻き立てられます.

首を落とされ風雨にさらされた石像群が陽の光を帯びるとき,神になろうとした王の野心ともののあわれとが見えるような気もします.

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