【ゴールデンウィーク家族旅行】新緑の3泊4日京都旅行記 洛西の禅寺めぐり

西芳寺庭園.苔むして自然に戻ろうとする無常の美

大型連休に京都旅行.

3日目は,洛西の禅寺をめぐります.

■京都旅行1日目の記録は,こちらをご覧ください.

■京都旅行2日目の記録は,こちらをご覧ください.

※掲載内容は,取材時点の情報に基づきます.変更される場合がありますので,ご利用の際は事前にご確認ください.

※アフェリエイト広告を利用しています.

西芳寺(苔寺)参拝

西芳寺庭園.向かって右が瑠璃殿跡,左は夜泊石(よどまりいし)か

午前中は西芳寺さんを参拝しました.気が付けば,4度目の参拝です.

三井ガーデンホテル京都四条からは,徒歩とバスとで1時間弱かかります.

73系統(京都バス)苔寺・鈴虫寺行に乗ると,苔寺に最も近いバス停で降りることができます.

西芳寺の概要

731年,行基菩薩が畿内四十九院の法相宗の寺として開山.

開山前の飛鳥時代,西芳寺があった土地には聖徳太子の別荘があったといわれています.

平安時代初期には弘法大師が一時住し,鎌倉時代初期には法然上人が浄土宗に改宗.

1339年,夢窓國師が臨済宗寺院として中興されました.

足利義満公や義政公など数多の貴人が参詣され,後に開山される金閣寺や銀閣寺など,室町時代を代表する庭園の原型になったといわれています.

35,000平方メートルに達する庭園は,国の特別名勝及び史跡に指定されており,平成6年(1994年)にはUNESCOの世界文化遺産「古都京都の文化財」の1つにも登録されています.

先ずは写経

立派な本堂,西来堂(さいらいどう)と言います.

お庭の拝観に先立ち,15~20分ほど本堂で写経に取り組みます.

初めて訪れたときは,墨をすり,白紙に毛筆で書き写した記憶がありますが,いつからか筆ペンが用意されるようになりました.

写経は「延命十句観音経(えんめいじっくかんのんぎょう)」です.

「延命十句観音経」とは,その名のとおり10句,42文字からなる短いお経で,「経典」ではありません.臨済宗中興の祖と称される白隠(はくいん)禅師が勧めたことから,臨済宗を中心に唱えられています.

ざっくりとした意訳は,困ったときに観音様の名前を唱えれば助けていただけるということ.

そんな都合の良い話がと思うことなかれ,「人間は弱いものだということを知り認めること.どうしようもなく救いを求めたとき,必ず応じて手を差し伸べてくれるものがあるということを知るということ.人の為に尽くす楽しみを知り,清き道を進もうとすること.」というようなことが説かれているということです.

120種類余の苔に覆われた境内

スギゴケとサクランボ

写経の後,お庭を拝観.

西芳寺庭園は,上下二段に分かれています.

上段のお庭は現存最古の枯山水式.
夢窓國師の生前の墓(寿塔)の造形化したものと言われています.

下段のお庭は池泉回遊式.
中心景は,「心」の字を象った黄金池(おうごんち)です.

黄金池(おうごんち)

影向石と遣水(2020年3月撮影)

観音堂から時計回りに黄金地を回遊します.

小庵堂茶室を右手に進むと,しめ縄をかけられた石が目に留まります.

「影向石(ようごういし)」と呼ばれ,西芳寺の北に位置する松尾大社の神が下りてきたものとされています.もともとは手前を流れる遣水(やりみず)を構成する石のひとつであったものが,いつからか神聖視されるようになりました.

長島の三尊石組(2019年3月撮影)

黄金池でもう一つ有名な石が,長島の南正面に据えられた「三尊石組(さんぞんいしぐみ)」です.

如来を中心に,2体の菩薩が並ぶ三尊の姿に見えることからこのように呼ばれています.

日本庭園のいたるところに見られる三尊石組ですが,金閣寺のそれは,この西芳寺庭園の三尊石組を模倣しているともいわれています.

湘南亭

湘南亭茶室

千利休の次男,千少庵により建立されたお茶室.国の重要文化財に指定されています.

千利休が豊臣秀吉より切腹を命じられた際,一時隠れ家としたと言われています.

明治維新の際には岩倉具視がここに隠れ,幕府の難を逃れたということです.

枯山水石組

向上関

向上関をくぐり石段を登った最上位置に指東庵があります.

その向かって右手には,庭園のハイライトである枯山水石組.

洪隠山(こういんざん)中腹の傾斜を利用したダイナミックな石組み,手前に二段,その奥に高く滝が組まれた三段滝です.

残念ながら現在は非公開ですが,2020年3月に訪れた際の写真です.

枯滝石組みの雄雄しさよ

お土産の絵葉書

お土産に頂いた絵葉書とオリジナル筆ペン

一時間ほどゆっくりとお庭を散策し,名残惜しく衆妙門を出ようとしたところ,お土産にと六月の苔むしたお寺の絵葉書を頂きました.

これまで訪れたときとは打って変わり,ホスピタリティが格段に向上しています.

基本情報とアクセス

  • 住所|京都府京都市西京区松尾神ヶ谷町56
  • Tel|075-391-3631
  • 拝観時間|通常午前中のみの開門.西芳寺の参拝には「事前申込」が必要です.後述の予約方法をご確認ください.
  • 拝観料|大人3,000円以上(参拝は中学生以上,年に数回お子さま参拝を実施)
  • アクセス|駐車場なし タクシー/京都駅から約20分(2,500〜3,000円程度) バス/京都駅から京都バス(73系統)で約60分「苔寺・すず虫寺」下車,徒歩3分
  • 西芳寺 WEBサイト

予約方法

事前申込による少数参拝制のため,予約が必須です.

申込方法は,往復はがきに加えてオンラインでの受付も開始されましたが,以下の注意が必要です.

往復はがき申込オンライン申込
受付期間2か月前〜1週間前(必着)1週間前〜前日
申込人数上限1組5人まで
(それ以上は要相談)
1組2人まで
参拝冥加料・料金1人 3,000円以上1人 4,000円

詳細は,上記WEBサイトをご確認ください.

門前「元祖 苔乃茶屋」の昼食

老舗の外観

昼食は,門前の「元祖 苔乃茶屋」さんにて名物門前とろろそば1,100円を頂きました.

美しいお庭と,親切でよくしゃべるシャキシャキとしたおかみさんも名物です.

苔をイメージした青のりをあしらった名物門前とろろそば

基本情報とアクセス

  • 住所|京都府京都市西京区松尾万石町56
  • Tel|075-381-3191
  • カード|利用不可
  • 営業時間|09:30~16:00
  • 定休日|不定休
  • アクセス|タクシー/京都駅から約20分(2,500〜3,000円程度) バス/京都駅から京都バス(73系統)で約60分「苔寺・すず虫寺」下車

竹の寺 地蔵院を参拝

静かな総門

昼食後,バス駐車場横の看板が目に留まった地蔵院さんへ参拝しました.

苔乃茶屋のおかみさんもお勧めされていた,細川 護煕元総理大臣が揮毫した襖絵のあるお寺さんです.

地蔵院の概要

地蔵菩薩が安置される本堂

臨済禅宗の寺で,伝教大師の作といわれる地蔵菩薩を本尊としています.

1367年,室町管領細川頼之公が夢窓国師の高弟宗鏡(そうきょう)禅師を招請して伽藍を建立.宗鏡禅師は恩師夢窓国師を開山に仰ぎました.

頓智で有名な一休さんこと一休宗純禅師が養育されたお寺でもあります.

境内は,京都市の文化財環境保全地区に指定されています.

地蔵院の見どころ

見事な竹林に囲まれていることから「竹の寺」とも呼ばれています.

季節柄,多くの筍が生えており,参拝者に分けたらええのになーと呟く父と全力で同意する母.

十六羅漢の庭

野性味あふれる庭園

方丈にある庭園は,「十六羅漢の庭」と呼ばれ,宗鏡禅師作の平庭式枯山水庭園です.

石の一つ一つは羅漢を意味しているということ.

羅漢とは,「智慧の力をもって悩みをなくし正覚に達すること,又は智慧を得,悟りを開いて世人から供養を受けるに足る聖者」をいいます.

地蔵院の羅漢は,男山の八幡宮に願をかけているため,その方向(左手後)に少しずつ傾いているらしい.

名椿「胡蝶侘助」などもあり,小さくも自然の趣豊かな静かで落ち着いたお庭です.

瀟湘(しょうしょう)八景図

八景を見つけるのが面白い

細川護熙元内閣総理大臣が揮毫された襖絵.

瀟湘とは,中国湖南省の瀟水と湘水との二川が合流して洞庭湖に注ぐ所.この地の勝景八つを選んだものを瀟湘八景といいます.日本では,近江八景の由来となっています.

猪目窓(いのめまど)茶室

向こう側に恋する二人が見えるよう

お寺さんで見るハート型.猪目(いのめ)とは,古来から伝わる日本伝統文様の一つです.

お寺や神社などの建築装飾として使用されており,災いを除き,福を招く意が込められているようです.

基本情報とアクセス

  • 住所|京都府京都市西京区山田北ノ町23
  • Tel|075‐381‐3417
  • 拝観時間|9:00~16:30
  • 拝観料|一般大人:500円(税込み),小中高校生:300円(税込み)
  • 定休日|1月10日~2月10日の水曜日と木曜日
  • アクセス|駐車場あり(1時間無料) 車/名神高速道路より(上り下りとも左ルート)大山崎JCT→京都縦貫自動車道(京都第二外環状道路)→大原野IC→約20分 バス/京都駅から京都バス(73系統)で約60分「苔寺・すず虫寺」下車,徒歩3分
  • 竹の寺 地蔵院 WEBサイト

鈴虫寺(華厳寺)を参拝

この石段の上にあり

地蔵院さんにて静かな時を過ごした後,鈴虫寺へ向かいました.

徒歩で10分程度かかります.

鈴虫寺は石段を上った先にありますが,到着すると石段に行列が.

1時間毎に説法をされており,それに合わせて入場時間が決まっているようでした.

私たちは13:30頃に到着したため,14:00の説法開始の受付まで30分程石段で待つことになりましたので,事前に説法開始時間を調べていくことをお勧めします.

説法開始時間は,WEBサイトから確認することができます.

鈴虫寺の概要

現在の書院

正式な名称は「妙徳山 華厳寺(みょうとくざん けごんじ)」.

1723年,鳳潭上人(ほうたんしょうにん)の開山.
1868年,臨済宗に改められています.

御本尊は大日如来さんですが,幸福地蔵菩薩さんが有名です.

鈴虫寺のいわれ

秋だけではなく,四季を通じて鈴虫の音色を聞くことができる境内ということから,「鈴虫寺」と呼ばれています.

鈴虫は先代住職さんらの研究の成果により,年中を通しての飼育が可能となったということで,2022年5月には7,000匹程度?の成虫がいました.

※鈴虫は撮影禁止です.

鈴虫寺の見どころ

先ずは説法

先ずは書院にて,「鈴虫説法」と名付けられたお話を鈴虫の音色とともに拝聴します.

お坊さんが30分程度,日常の心の在り方,参拝方法,鈴虫の秘密などを流暢にトーク.

以前は,お茶とお菓子とが用意されていたということですが,昨今の情勢を鑑みてお茶の提供はなく,お菓子のみが用意されています.

わらじを履いたお地蔵さん

歩いて来て願いを叶えてくださるお地蔵さん

本当のお名前は「幸福地蔵菩薩」.

日本で唯一,わらじを履かれたお地蔵さんです.

これは,願い事をすると,お地蔵さんが歩いて来て願いを叶えてくださるためということです.

詳しい参拝方法は,「鈴虫説法」の中で説明されます.

遠くに見る京都タワー

限定に弱い私

現在は,展望台から京都タワーも望むことができる見晴らしの良い位置にありますが,こちらは土砂災害警戒区域に指定されており,石段を下りた麓に移ることが予定されています.

拝観時は,建て替えの支援を募られており,限定御朱印500円を頂きました.

基本情報とアクセス

  • 住所|京都府京都市西京区松室地家町31
  • Tel|075-381-3830
  • 拝観時間|9:00~16:00
  • 拝観料|なし
  • 定休日|なし
  • アクセス|駐車場あり(500円/台) バス/京都駅から京都バス(73系統)で約60分「苔寺・すず虫寺」下車,徒歩3分
  • 鈴虫寺 WEBサイト

カフェ BAMBOO COFFEE 京都で休憩

中煎り(メキシコ マヤビニック)を注文

「苔寺・すず虫寺」バス停前に,2022年3月26日「一粒万倍日」「天赦日」「寅の日」といった開運日が重なる超ラッキーデーにオープンされた「BAMBOO COFFEE 京都」さん.

鈴虫寺参拝後の休憩に丁度良い位置にあります.

ブルックリンスタイルの店内で頂く,フェアトレードのオーガニックコーヒーが,疲れた体を癒してくれます.

基本情報とアクセス

  • 住所|京都市西京区松尾万石町51
  • Tel|075-275-8101
  • カード|電子マネー/ スマホ決済/ クレジットカード/ 現金
  • 営業時間|10:00~18:00
  • 定休日|不定休
  • アクセス|バス/京都駅から京都バス(73系統)で約60分「苔寺・すず虫寺」下車,徒歩0分
  • BAMBOO COFFEE WEBサイト

てらまち福田(美碧)の夕食

夕食は,久久に「てらまち福田」さんにて.

暫く伺わないうちに名前が変わっていました(場所は変わらず).

あの「和久傳」さんにて修行を積まれたご主人が厨房を切り盛りされ,割烹のお味を居酒屋のように気取らない空間で楽しむことができる,非常にお値打ちのお店です.

鯖寿司やすっぽん料理,丹波地鶏や旬の野菜など,豊富な食材が用意され,日本酒の種類も豊富.ご飯ものも美味しく,お酒を飲まない方も喜ばれます.

少人数で肩ひじ張らず,美味しい和食とお酒とを堪能したい方におすすめのお店です.

※店内は撮影禁止です.

基本情報とアクセス

  • 住所|京都府京都市下京区寺町通仏光寺下る恵美須之町528 えびすテラス2F
  • Tel|075-343-5345
  • カード|不可 現金のみ
  • 営業時間|昼12:00~13:30L.O. 夜17:00~22:00L.O.
  • 定休日|水曜日,第4火曜日
  • アクセス|電車/阪急京都線 河原町駅 徒歩5分
  • てらまち福田 WEBサイト

予約方法

予約は,上記電話番号075-343-5345から可能です.

お昼は不可.

旅のルート

2022年5月2日
09:00 コメダ珈琲にて朝食

10:30 西芳寺参拝

12:00 元祖 苔乃茶屋にて昼食

12:40 地蔵院参拝

14:00 鈴虫寺参拝

15:00 BAMBOO COFFEEにて喫茶

19:00 てらまち福田にて夕食

三井ガーデンホテル京都四条に宿泊.

まとめ

京都旅行3日目は,洛西の奇しくも禅寺をめぐる一日となりました.

こちら側には他にも,天龍寺や大覚寺など素晴らしいお庭のあるお寺さんが多くあります.

何度も訪れたくなる京都,四季折折の魅力を探しに出かけてみませんか?

■旅先で読んだ本

古都 (新潮文庫) – 川端 康成

京都を舞台に,双子の姉妹と周囲の機微を美しく描く,川端康成の小説.古都の美を留めたいと願う,年中行事絵巻でもある.

■厳選レストラン予約は「一休.com」から.

■お得な宿泊予約は「じゃらんnet」から.

コメント